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年金問題と国会運営~安倍首相は誤解している [政局]

【PJ 2007年07月06日】-私は6月4日の記事に、「民主党が、年金記録の調査前の社会保険庁廃止に反対したは、支持母体の自治労を守るためのようだ」と書いたが、そもそも民主党が国会で年金の記録不備を大きく取り上げたのは、同庁の解体に反対するためだったようだ。民主党の長妻昭議員はテレビで、「去年の国会でも、年金記録の不備を取り上げたが、自民党はあまり取り合わなかった。」などと話していた。

 だが、今年の5月になってから、社会保険庁の解体が現実味を帯びてきたので、それを阻止するために、民主党の執行部は年金記録の不備を声高に叫び始めたようだ。参議院選挙で、自民党を追い詰める目的もあったろう。年金は大事な問題なのだから、支持母体や選挙のためでなく、もっと早く大きく取り上げるべきだった。自民党も無責任だが、民主党の執行部も党利党略を優先させる。

 また、社会保険庁の職員が納付記録においてミスを繰り返したのは、覚書によって仕事をまじめにしなかったからのようだ。労働組合は同庁と様々な覚書を交わして、仕事を減らすよう要求してきた。「パソコンの導入が、人員削減や労働強化につながらないようにする」「一人が一日に行う、パソコンのキータッチは平均5000にする」「ファックスは勤務時間外には使用しない。労働強化にならないよう、配慮する」などと、覚書で取り決めてきた。

 産経新聞の「歪みの構造 社保庁問題(上)覚書で26年 天国の職場」(6月26日付ウェブ版)には現場の様子として、「われわれ(職員)は、たばこを吸いながらの入力。パソコン1つも1人で満足に扱えず、雑談したり色々」という、職員の書いたメモを引用している。まじめに仕事をしていなかった訳だ。このような職場の雰囲気があるから、入力ミスがたくさん発生したのではないか。

 覚書は、この問題を考える上で、重要なことなのに、テレビでは殆ど見なかった。いつものことだが、大騒ぎはしても、深い報道はしない。日本人に詳しいことは、知らせたくないのだろう。「知る権利に応えたい」というのは建前だ。

 社会保険庁のいい加減な仕事ぶりが明らかになって、国民の怒りが高まったため、同庁の職員はボーナスを返上しているが、これはどうだろうか。入力ミスは何年も前に起きたことだから、そのミスを犯した当人がボーナスを返上するのならいいが、間違えていない現在の職員がボーナスを返上するとしたら、おかしいではないか。

 テレビの街頭インタビューでは、「当然だ」と言う人がいたが、職員を社会保険庁の職員とだけ捉えていて、一人一人を見ていない。「パフォーマンスだ」と言う人もいたが、記録の統合に金がかかるのだから、少しでも経費が集まった方がいいのに、「形だけだ」と否定する。どうも物事を公平に見られる人は、少ないようだ。ちなみに返上ボーナスの総額は、10億円に上るらしい。

 年金記録の不備が明らかになって、支持率が下がったため、安倍首相は焦ったのか、5月30日には衆院の委員会で年金関連法を強行採決し、6月29日には深夜までかかって、参院本会議で同じく年金関連法を成立させたが、選挙には逆効果なのではないか。内閣支持率は更に下がって、7月1日のテレビ東京の世論調査では、支持が36%で、不支持は48%になった。

 安倍首相の基本政策は、正しいと思う。憲法や教育基本法など、GHQ に押し付けられた法令を改正することは、必要だ。安倍首相は靖国神社や従軍慰安婦などの問題も、正しく理解しているので、保守派の言論人も評価している。首相は、たとえメディアや国民に評判が悪くても、正しいことをやり抜くことが必要で、それがいずれ評価されると考えているようで、その姿勢もいいと思う。

 だが、5月末以降の安倍首相のやり方には、感心しない。強行採決や深夜の審議を見て、内閣を支持しようと思う人が、どれだけいるだろうか。年金関連法は必要だが、衆院の委員会では5時間しか審議しないで、採決したし、メディアも否定的に報じたので、国民は評価するどころか、支持を減らした。

 それなのに6月29日、また深夜の採決をした。首相は30日、「国民は評価してくれると思う」などと自信ありげに述べていたが、どうも安倍首相は、国民の受け止め方が分かっていないようだ。強い姿勢で法案を成立させることは必要だが、5時間の審議や深夜の採決をいいと思う人はまずいない。首相は根本から誤解しているのではないか。是非、考え方を改めてほしい。

 安倍内閣の国会運営が下手なのは、官房副長官や首相補佐官のせいかも知れない。補佐官などは人数が多いし、仲が悪いので、足を引っ張り合っているという説がある。官邸内部で、意志の疎通がうまく行っていないので、国会運営に失敗するのかも知れない。また安倍内閣では、久間・元防衛相など閣僚の失言が何度もあり、自殺した大臣もいた。安倍首相は信念では正しくても、人の扱いが下手なようだ。

 このような政治状況の中、7月29日に迫っている参議院選挙はどうなるだろうか。自民党と公明党の与党は、きっと議席を減らすだろう。その結果、安倍内閣は成立から1年経たずに、退陣するかも知れない。小泉政権は長かったが、また短期政権なのか。日本の政治は中々よくならない。次は誰が首相になるのか。信念を貫きながらも、人の扱いが上手い人に、首相になってほしい。【了】

 ライブドアのサイトで読むのなら、http://news.livedoor.com/article/detail/3223882/ で。


タグ:安倍 年金
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