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森田健作が当選したのは、小沢疑惑のためなのか [*マスコミ]

【2009年04月02日に公表、03日に改訂】-3月29日、千葉知事選挙が行われて、俳優の森田健作氏が次点と38万票の大差をつけて当選した。

 対抗馬の吉田平氏が民主党などの推薦を受けていたので、「小沢疑惑のために民主党の人気が落ちて、森田氏が当選した」と言うメディアが多いが、そうだろうか。

 読売新聞は30日付の社説で「(吉田氏が)敗北したのは、小沢代表が事件後も続投したことなどによる民主党のイメージダウンが響いたということだろう。」と書いて、森田勝利の原因を小沢疑惑に求めた。

 毎日新聞も31日付の社説で同じような見方を示した。「民主党など野党4党推薦候補が予想以上の大敗を喫したのは、小沢一郎代表の公設秘書が起訴された政治資金規正法違反事件と、小沢氏の続投表明など、その後の対応が影響したためとみて間違いなかろう。」と書いた。敗因ではないが、大差で負けた原因は、小沢続投のためだろうという見方だ。

 また、TBS 解説委員の杉尾秀哉氏も3月31日の『朝ズバッ!』で、大差がついた理由を小沢疑惑のせいだと断言した。「影響がないとは言えないというレベルではない。民主党推薦候補の出馬表明が遅かったとか、知名度は森田さんの方が圧倒的に上とか、いろんな要素があったろうけど、小沢問題があったからあれだけ票差が開いたのは間違いない」と述べた。(J-CAST の記事による。)

 30日の夕方、東京の民放テレビを数局見たら、どの局も小沢疑惑のために森田氏が勝利したと解釈していた。私が見た限り選挙運動に触れたのは、街頭インタビューでおばさんが「森田さんの演説は4年前よりずっといい」と言ったことだけだった。

 だが、本当にそうだろうか。秘書が逮捕起訴されてから民主党の支持率がどれほど落ちたかというと、メディアによって違うが、2%から7%で大きくない。産経記者の阿比留氏のブログ(3月9日付)から引用する。

・産経(フジ)  23.9%(前回調査比2.0ポイント減)
・朝日      22%(同4ポイント減)
・読売      23.8%(同4.5ポイント減)
・共同通信    27.4%(同6.2ポイント減)
・毎日      22%(同7ポイント)

 「小沢は辞任すべし」と言う人は多いが、民主党の支持率はそんなに下がっていない。メディアは小沢人気と民主党人気を混同している。

 民主党の支持率が10%以下まで落ちたのなら、「小沢疑惑のせいで吉田氏は敗れた」と言えるが、これくらいでは関係ないのではないか。むしろ無名に近い吉田氏が63万票も得票できたのは、民主党のお陰ではないか。支持者に加え、いわゆる「無党派層」が民主党の推薦を見て同氏に投じたのではないか。

 森田氏自身が関係を否定した。30日、フジテレビの「とくダネ!」に出演した時、「民主党の小沢代表の問題はあまり影響なかった?」と訊かれ、「そんなに関係なかったと思う」と答えた。(J-CAST の記事による。)

・地方選挙と政党支持率は関係がない
 日本のマスコミは地方選挙について、いつもこういう解釈をする。選挙結果を政党の支持率に関連づけるのだ。野党推薦の候補が勝てば、「中央政界で自民党の人気が落ち、野党が支持されているからだ」と言い、負けた場合は「野党の人気は地方にまで及ばなかった」などと言う。候補者がどんな政策を掲げ、どんな選挙運動をしたかは考慮に入れないのだ。どんなポスターを作り何枚張ったか、選挙カーは何台用意して、延べ何百時間走らせたか、全く考えない。とんでもないデタラメだ。

  先の読売社説は「麻生政権の支持率が急落して以降、民主党は地方選挙で順風に恵まれた戦いを続けてきた。1月の山形県知事選は、民主党が支援した候補が現職を下した。3月1日の山口県柳井市長選とそれに伴う県議補選のいずれも、民主党が支援した候補が勝利した。岸信介、佐藤栄作両元首相以来の保守の強い地盤だけに、自民党に大きな衝撃を与えた。」とも書いた。

 中央政界の出来事や政党支持率は地方選挙に影響を与えるはずだが、それは一因に過ぎないはずだ。候補者の知名度や選挙運動の方が、大きいはずだ。ところがメディアは政策や選挙運動を考慮に入れず、政党の支持率だけで地方選挙を語るのだ。言語道断だ。

 日本の報道は大抵このレベルだと思う。ごく一部の現象や特殊な例を取り上げて、「それが全体だ」と言うことが多いのではないか。予備知識のない人は「そうか」と思ってしまうが、専門家や詳しい人からすると、デタラメが罷り通っている。

 マスコミがこじつけばかり言うのは、日本人の考える力を落としたいからではないか。馬鹿が増えれば、暴力や犯罪も増えて、社会が騒然とする。そうすれば、暴力革命が起こしやすくなる。また、共産主義を吹き込むことも容易になる。マスコミは、共産革命を引き起こすためにデタラメを意図的に言い触らしている思う。

・今回は森田の作戦勝ち
 千葉知事選挙に話を戻すと、森田氏は元々俳優で、国会議員を3期務め、前回の知事選にも出馬したから、知名度は抜群だ。吉田氏は、いすみ鉄道の社長になった時ニュースに出たはずだが、森田氏には遠く及ばない。

 また森田氏は1年半前からミニ集会を400回も行って、顔を売り政策を訴えてきた。一方吉田氏は投票の2ヶ月前に出馬表明をして、出遅れた。立候補の時に、勝敗はある程度決まっていた。

 また森田氏のキャッチ・フレーズは秀逸だった。赤い幟に「元気モリモリ 千葉日本一。」と書いた。これを見たら、大抵の人がつい森田氏に投票したくなるだろう。公約はアクアラインを800円に下げるなど、分かりやすかった。

・政策を問わない愚
 知事や議員にとって一番大切なことは政策や実行力だ。それなのにマスコミは、候補者がどんな公約を掲げ、どんな演説をしたのか全く取り上げず、政党支持率だけで勝敗を説明するのだ。メディア自身が政策を重視しなければ、一般の日本人も政策よりイメージやクリーン度を優先させる傾向が強まってしまう。議員の活動でなく知名度やイメージで投票する人が増えてしまう。

 ちなみに、私が森田氏に期待するかと言うと、やってみないと分からないが、大した成果は上げられないと思う。

 最後に言葉遣いについて一言。毎日新聞は「~と見て間違いなかろう」と書いたが、これも問題表現だ。「見ていいだろう」と書くべきだ。「間違いない」と断言する言い方のあとに「だろう」と推量を表す語は置けない。同じ理由で「明らかだろう」もダメだ。異常表現が定着していて、実に深刻だ。

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