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「マニフェスト」はやめて「選挙公約」と言うべし [英語教育]

【2009年08月29日】-投票日はとうとう明日になった。前回の衆院選の時からか、選挙公約を「マニフェスト」と言うようになった。政党まで俗受けを狙って、不必要な英語を使うだから問題だ。

 初めは「マニフェスト」を「選挙公約」と訳してたが、今年になってからは「政権公約」と言うようになった。選挙運動の間、当選後に何をするか有権者に約束することだから、「選挙公約」の方がいい。なぜマスコミも政治家も「政権公約」と言うようになったのか。何か理由があるのか。マスコミは他者には「説明責任」を求めながら、自分達は説明しないで勝手に変えるから、矛盾している。

・マニフェストは和製英語か
 manifesto を英和辞典で引いたら、「宣言(書)、 声明(書)」と書いてあったが、「公約」はなかった。プログレッシブ和英辞典も「公約」の項に、manifesto は載せていない。

 Merriam-Webster On Line を見たら、「選挙公約」に当たる定義は載せていなかった。「アメリカの英々辞典にもないとなると、和製英語かも知れない」と思い始めた。

 ウェブ・サイトの Japan Today は、日本に関するニュースを英文記事で載せている。manifesto を「選挙公約」の意味で使ったこともあるが、少ない。8月2日に載った "Aso, Hatoyama trade criticism over policy platforms" の本文には、manifesto もあったが、policy platform の方が多かったと思う(記事は消えてしまって、もう見られないので、確かめられない。)題にある platform は「政策要項」の意味だから、policy platform で「選挙公約」を表すはずだ。題全体を訳すと「麻生と鳩山は選挙公約に関して批判し合った」だ。

 18日か19日に載った "Dueling manifestos" では題にも入っているが、本文では「公約」の意味で、campaign platform や platform と17回も書いた。manifesto は3回だけだ。campaign はここでは「選挙戦」「選挙運動」の意味だ。2日と18日頃の記事は、どちらも共同通信が英文で配信した記事だ。共同は、manifesto をあまり使わないようにしていることが分かる。

 またニュー・ヨーク・タイムズとワシントン・ポストが8月上旬に載せた記事には、policy pledge(政策の約束)や campaign promise(選挙戦の約束)や election promise (選挙の約束)と書いてあった。(これも記事が消えてしまった。)

 日本語のウィキペディアで「マニフェスト」の項目を見たら、「『選挙公約』の意味で使い始めたのはイギリスだ」などと書いてあったので、BBC のサイトで記事を調べてみた。

 "What went wrong for Japan's LDP? " には manifesto が出てきて、campaign promise などはない。だがイギリスの内政に関する記事では、election manifesto を幾つも見た。manifesto だけでは分からないこともある。

 次にイギリスの英々辞典を引いた。Cambridge Advanced Learner's Dictionary の manifesto の項には、"a written statement of the beliefs, aims and policies of an organization, especially a political party" と書いてあった。「組織、特に政党の信条・目的・政策を書いた文書」という意味だ。例文としては In their election manifesto, the Liberal Democrats proposed increasing taxes to pay for improvements in education. が載っていた。(自由民主党は選挙公約で、教育改革の費用をまかなうために増税を提案した)例文でも election manifesto となっている。

 だからマニフェストを「選挙公約」の意味で使うのは、イギリス英語としては確かにある。だがイギリスでも、election manifesto と言うことが多いのなら、日本で使うのはやめるべきだ。日本語で「選挙公約」と言った方がいい。

・語源
 Merriam-Webster On Line によると、manifesto は元々イタリア語の単語で、英語には1620年に入った。4百年近く英語にあるのに、まだ語末の母音が残っているのは不思議だ。形容詞や動詞として使う manifest があるからだろう。

 イタリア語やスペイン語では、母音で終わる語が多い。フランス語でも元々あったが、語末の母音は消えてしまった訳だ。

 「共産党宣言」は英語で The Communist Manifesto か Manifesto of the Communist Party と言う。共産主義は嫌いだから、余計に「マニフェスト」はやめてほしい。

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