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「地球に優しくする」は奇妙な言い方だ [環境問題]

【2009年09月10日に掲載、11日に訂正】-産経新聞は今日付で、「繰り返し使える封筒が売れている」という内容の記事を載せた。(「郵便もエコ時代 封筒繰り返し利用が定着 包み紙や古新聞の活用も」)

 封筒を1回使っただけで捨ててしまうのはもったいないと思っていたので、この記事を読み始めた時は「いいことを記事にしてくれた」と感じたが、読み進めていくうちに嫌いな表現に出合ってしまった。それは、フェア・トレード・カンパニーの高井藍子さんの言った「地球に優しくなれる」という表現だ。

 地球は土や岩の固まりだから、優しくできない。「自然に優しくする」の意味で使ったのは分かるが、不正確な表現なのでやめるべきだ。フェア・トレード(公正貿易)を主張しているのに、奇妙な言葉遣いをするのだから矛盾だ。

 日本は不思議な国というか駄目な国で、このような異常な表現が増え続けてきた。運動をしている人やマスコミの人間は感覚が少しおかしいので、奇妙と思わず使い続ける。マス・メディアが多用すると、政治家も役人も主体性がないので言うようになる。

 「心のケア」も異様な言い方だが、マスコミが言い触らしたから教師まで口にするようになった。心をケアすることはできない。ショックを受けた人の相談に乗ることを、以前は何と言ったのだろうか。

 気持ち悪いことを言ったり聞いたりしていると、神経がおかしくなっていく。異常表現も、犯罪や鬱病者を増やしていると思う。(実際、学校教師の不祥事は増えている。)

 このような固定表現でなくても、「位置づける」「結論づける」「特徴づける」もおかしいが、広まってきた。日本人の8割くらいが嫌っているはずだが、気持ちを表明する人はまずいない。書き言葉の問題表現については、以前のエントリーで項目だけ並べた。

 私が知る限りで、「『地球に優しい』は異様な言い方だ」と述べたのは、ビートたけしさんだけだ。問題表現を指摘するのは知識人だが、知識人が使うと指摘する人がいないことになる。

 「地球に優しい」ではなく、「自然を守る」とか「自然を大切にする」と言うべきだ。「地球に優しい」が広まったのは言いやすいからだと思うが、不正確だからやめた方がいい。

・不的確だから誤解を生む
 「地球に優しい」と同じような意味で「地球を守ろう」とも言う。これも不正確な言い方だから、やめた方がいい。

 「『地球を守ろう』という考え方はおかしい」でインターネットを検索したら、「はてな」の「環境問題や地球温暖化について語られる際に『地球が危ない』といわれることが多いのですが、実際に人間の活動によって地球という天体あるいは地球の生態系に壊滅的な打撃を加えることは可能なのでしょうか。」と題するページがヒットした。

 普通「地球が危ない」は「このまま自然を破壊していったら、人類は絶滅するだろう」という意味なのに、「地球という天体が危ない」と誤解している。

 最初に回答を寄せた人も誤解して、概略次のように書いた。「地球からすると、地上から人間や生物が消えても問題ありません。地球上の原爆・水爆・生物兵器をすべて使用しても、地球はなくなりません。つまり『地球を守ろう』と考えて行動する環境保護運動は本質的に間違っていると思います。誰かを守ってあげるのではなくて、本当に守らないといけないのは自分達の生活環境だからです。」などと書いた。

 「地球を守ろう」は普通「地球上の動植物を守ろう」の意味で使うが、回答者も「地球という天体を守ろう」の意味だと思ったようだ。

 「本当に守らないといけないのは自分達の生活環境です」と本質が分かるほど頭がいいのに、誤解したのだから不思議だ。表現が不正確だから、誤解した訳だ。

 この人の言うように、自然保護運動の原点は「今のまま自然を破壊していったら、人類は絶滅してしまう」ということだ。「木や草がかわいそうだから、守ってあげよう」というのではない。人間が生きるか死ぬかの問題だ。

 「地球に優しい」とか「地球を守る」とか曖昧な表現を使い続けるのは、環境問題の原点や自然破壊の深刻さがよく分かっていないからでもあるだろう。木や水がないと人間は生きて行けないのだから、曖昧な言い方をしないで明確な表現をすべきだ。

 「自然環境」の意味で「環境」と言うのにも反対だ。「環境」は元々「周りにある物」の意味だ。「自然」を取ってしまっては、意味をなさない。「環境」も乱用するから、「自然環境」という意味で使い始めたが、いつの間にか「住環境」の意味になっていることがある。言葉は正確に使わないと、意志が正しく伝わらない。誤解が生じると、問題も解決しない。

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