警察が動くと大きく取り上げるメディアはおかしい [*マスコミ]
【2010年06月12日に掲載、14日に訂正】-昨日NHK のテレビ・ニュースを見ていたら、不思議な気持ちになった。記者数人が日本振興銀行の社長を路上で取り囲んで、「社内の電子メールを削除して、金融庁の検査を妨害したそうだが、役員も関わっていたのか」などと問い詰めていたからだ。
日本振興銀行は金融コンサルタントの木村剛が中心になって設立した銀行で、今まで情実融資など不正を散々してきたが、テレビは殆ど取り上げなかった。それなのに、メールを削除して不正を隠したと分かったら追い回すのは、おかしいと思ったのだ。
そのあとニュースを見続けていたら、金融庁はメール削除で刑事告発を検討していると言ったので、それで少し合点が行った。警察が動くことになったから、大きく取り上げたのだ。
警察が刑事告発を受けて重大だと判断すれば、捜査に入る。実際、夕方には警視庁が日本振興銀行を家宅捜索した。
・道徳的判断はいらないのか
確かに検査の妨害はいけないことだ。刑罰が決まっているだろう。だが情実融資など営業上の不正は、罰則を伴わなくても、道徳的にはずっと重大と思う。金利を取りすぎれば苦しむ人が出る。それなのに新聞が同行の不正融資を取り上げていた時、テレビは殆ど扱わなかった。テレビの価値観が警察の価値観になっているのだ。
警察が捜索や逮捕をした場合は、不正が起きないように報じる必要がある。だが、メディアがまるで警察の広報部のように警察の動きを警察の価値観で扱うのはおかしいと思う。
警察が動いたらメディアは、その人達は不正をしたという前提で報じる。それが冤罪を生み出す一因にもなってきた。
メディアは広義の刑法の定める犯罪でなくても、倫理的におかしいことは取り上げるべきだ。
メディアが警察の価値観を日本中に広めていると、日本人の公的な考え方(建前)が段々警察の価値観に近づいてしまう。犯罪にならないのなら、何をしてもいいと思う人が増えてしまうと思う。
・責任を取らない
メディアが責任を取ろうとしない問題もある。「警察が捜査している。だからこの人は悪いことをしたに違いない」と、警察に責任を押し付けていると思う。
医療や環境問題のことでも、専門家の意見を根拠にする。実際にはメディアの人間が価値判断をしているはずなのに、「専門家はこう言う」と言って責任を転嫁する。
ダイオキシン虚報の時も、専門家の話を根拠にして「猛毒だ」と触れ回った。メディアの言いたいことを無責任に言う専門家が見つかれば、その者に責任を押しつけながら、嘘八百を言うのだ。
法令違反や専門家の指摘がないと、道徳的には大問題でも全く言わないことがあるから、大きな矛盾だ。
・路上インタビューがしつこい
NHK のニュースでは社長に付きまとっていたので、驚いた。そのような映像を30秒くらい流したと思う。普通、路上インタビューは5秒くらいしか流さない。
背景が何度も変わったから、自宅から駅まで15分くらい社長に付きまとったのではないかと思う。まるでストーカーだ。社長がはっきりした返答をしなかったから、しつこく問いかけたのだろうが、それにしても長すぎる。
悪い人間には何をしてもいいと思っているのだろうか。そもそも押し紙新聞や共産テレビには他人を追及する資格はない。朝日や読売は毎年数百億円、不正な資金を手にしていると思う。
夜のニュースでは、木村剛に路上でインタビューをする映像を流した。こっちは数秒だった。木村は歩きながら携帯電話を見て、質問には答えなかった。涼しい顔をしていた。
48歳の経済人まで、歩きながら携帯電話を見るのかと唖然とした。はっきり言うと木村は犯罪者だから、それくらいどうということはないのか。
なお、日本振興銀行は英語で Incubator Bank of Japan と言う。incubator は「生み出す者」といった意味で、「起業家」の意味で使うことがある。「振興」とはかけ離れているが、中小企業を応援しようという気概を表しているのだろう。そんな銀行がこんなになってしまって残念だ。(敬称略)
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