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法人税を減税しても、景気はよくならない [*経済]

【2010年12月08日に掲載、11日に訂正】-今日の午後NHKのニュースを見ていたら、菅首相が「元気な日本に立て直したい」などと述べて、字幕もそう書いていたのでハッとした。「日本を立て直す」はこのブログの名だからだ。

 首相がこう語ったのは予算編成関係閣僚委員会の場で、前後の言葉も引用すると「成長と雇用を柱にして、『元気な日本』に立て直す大きなきっかけになるよう、予算編成に当たってほしい」と閣僚に向かって指示した。

 話しだから言葉遣いが少しおかしくても仕方がないが、本来なら「元気な日本にする」か「日本を立て直す」と言うべきで、両者を融合した言い方はおかしい。

・企業は賃金を上げよ
 政府は現在来年度予算案の策定に当たっているが、子供手当を増やしたり法人税を引き下げたりするための財源が足りなくて苦労している。

 子供手当は選挙公約だから、増額に特に反対しない。だが法人税の減税には反対だ。企業の内部留保を増やすだけで、景気はよくしない。

 法人税減税が俎上に上っているのは、経団連などが引き下げを求めているからだ。他の先進国に比べて日本の法人税率は40%と高いので、外国企業に太刀打ちできないという。だが、9月3日付の日刊ゲンダイによると、企業はカネを貯め込んでいて、内部留保は合計で200兆円に上る。だから、法人税率を引き下げる必要はない。

 また税率が高いために外国企業が日本に進出しにくいが、それは仕方がない。財政赤字は巨額なのだから、簡単に減税できない。外国は法人税を引き下げて他国から企業を誘致する競争をしているようで、それに付き合ってはいけない。むしろ外国におかしな競争をやめさせるべきだ。

 「法人税率を引き下げると、企業は給料を上げて景気がよくなる」と言う人もいるが、巨額の内部留保があっても社員の給料を下げているくらいだから、給料引き上げは期待できない。

 また法人税を減らした分、政府はナフサにかかる税などを上げようとしているから、減税は名ばかりで実質的な意味はない。

・会社員を増やせ
 給料を上げなくても、雇用を増やすのでもいい。菅改革が検討している雇用促進税制は、この観点からすると一応いい。

 この税制では企業が雇用を増やした場合、法人税から一定額を控除する。余裕のある企業は利用して、節税するはずだ。制度がうまく回れば会社員は増えて、失業率は下がり、消費も増える。景気に対して給料を上げるのと同じ効果を生む。

 個人も将来不安のためか、消費を手控えて貯蓄を殖やしている。個人の金融資産は1400兆円もあると言われている。

 個人も企業もカネを貯め込んでいるから、景気が上向かないのは当然だ。今の日本に必要なことは、企業と個人がカネを使うことだ。

 なお、法人税減税に関する新聞社説は低調だ。産経は減税に賛成したので、驚いた。毎日は反対したが、雇用促進税制や内部留保が巨額であることには触れていない。両紙とも無責任だ。
 

・参考資料
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101209/fnc1012090253000-n1.htm

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20101207ddm005070104000c.html

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/101117/ecd1011170505001-n1.htm

http://mainichi.jp/select/biz/news/20101208k0000m020116000c.html

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