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「一年の計は元旦にあり」の本当の意味 [*国語]

【2011年01月04日】-今日ヤフーのトップ・ページを見たら、「この一年の仕事の計は“仕事始め”にあり」という見出しがあって、その下に「今年、仕事でレベルアップを目指すあなたに役立つ情報が満載。ポイントを押さえて、快調なスタートダッシュを。」と書いてあった。

 この見出しは「一年の計は元旦にあり」という諺(ことわざ)をもじった訳だが、ちょっとおかしい。この諺は「一年の計画は元旦に立てるのがよい」の意だから、それをもじったのなら「仕事始めに仕事の計画を立てましょう」という意味を表すはずだ。

 だが、本文に「計画を立てましょう」という意味の文言はない。「快調に仕事を始めましょう」と呼びかけている。ヤフーの担当者は諺の意味を知らないのだ。「あなた」も、軽薄は言い方で駄目だ。

 「一年の計は元旦にあり」という諺は、中国の『月令広義』という本の中の「一日之計在晨、一年之計在春、一生之計在勤、一家之計在身」という言葉が元になっている。訓読すると「一日の計は朝にあり、一年の計は春にあり。一生の計は勤めにあり。一家の計は身にあり。」となる。

 2番目にある「春」は年頭のことなので、日本では「一年の計は元旦にあり」と言うようになったようだ。

・いい加減に生きている人ばかり
 この諺の本当の意味を知らないのは、ヤフーの人間だけではない。年頭にはよく聞くが、いい加減な意味で使っている人が大多数だ。私も学校などで意味を教わった記憶はない。

 「一年の原点は元旦にある」と思っている人が多いだろう。民主党の永江孝子議員は元日付のブログにマラソン大会に出場したことを取り上げて、次のように綴った。

「普段の運動不足がたたって、途中何度かランニングからウォーキングにギアチェンジしながらも、何とか完走。頂いた『完走証』が嬉しい年の始め。『一年の計は元旦にあり』 今年はチャレンジの一年にしたいと思っています。」

 「今年は挑戦の年にしたい」という決意は示しているが、計画は述べていない。「一年の原点は元旦にある」という意味で使っているように思う。深く考えずに口走っているのだ。

・英語もいい加減
 大阪府の橋下徹知事は今日府議会で演説し、「今年はトライ・アンド・エラー。挑戦して失敗した人を評価し、みんなで拍手する組織にしていきたい。」と語った。

 英語では普通 try でなく trial and error と言う。そのまま書いた産経新聞も無責任だ。

 よく知らないのに英語を使うような人間に、本当の改革はできない。実際に「大阪都構想」は荒唐無稽だ。

 政治家も一般国民も国語や外国語を大切にしないのだから、日本が停滞するのは当然だ。言葉遣いがいい加減だと、気持ちをちゃんと伝えることができない。テレビの討論会でも、表現が不正確なために時々擦れ違いが起きる。

 近代国家をうまく運営するには、まず基礎学力が必要だ。

・リンク
http://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%B8%80%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A8%88%E3%81%AF%E5%85%83%E6%97%A6%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8A

http://www.nagae-takako.jp/blog110102034014.html
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/110104/lcl1101041300000-n1.htm
http://www.wer-weiss-was.de/theme46/article1833198.html
 

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