「欧米は原発をしっかり管理している」は嘘 [東日本大震災とその影響]
【2011年04月14日】-日本で何か問題がおきると、テレビのコメンテイターなどは「欧米ではちゃんとやっている」などと言うことがある。今回の原発事故に関しても、テレビでそんな発言を聞いた。
財務官僚だった高橋洋一氏も3月24日付のJ-CASTの記事で、日本の原子力安全保安院では文官が幹部だが、「欧米では原子力の安全管理は、専門家集団によって構成された独立した機関で行っている。」と書いて、欧米を評価している。
「欧米」はアメリカとヨーロッパのことだが、広い地域を指す。イギリスやフランスなど西ヨーロッパではちゃんとしているとしても、ポーランドやセルビアなど東ヨーロッパの国は共産圏だったから、行政がそんなにしっかりしているとは思えない。論者が「欧米」と言う時念頭に置いているのは、米英と独仏だろう。実に不正確な表現だ。
それはそれとして、高橋氏は続けて「日本では専門知識のない文官が原発の監督をしているので、業者に取り込まれている。そのような状態を規制の虜(Regulatory Capture)と言う。」などと論じている。
英語の新聞や雑誌は散々読んだが、Regulatory Capture という表現は見た覚えがないので、調べてみたらウィキペディアの英語版では項目が立っていた。経済学の用語なので、一般の印刷物に出ないのも仕方がない。
ウィキペディアの目次には、アメリカにおける「規制の虜」が列挙してあった。今は原発がテーマなので、何気なく Nuclear Regulatory Commission(NRC, 原子力規制委員会)の項を読んでみた。
そうしたら、「2007年、大統領候補だったオバマは『NRCは規制する産業の虜になっている』と述べた。2011年日本の東日本大震災が福島第1原発を故障させた10日後、NRCはバーモント・ヤンキー原発に20年の使用延長を許可した。」などと書いてあったのだ。アメリカでも電力会社と規制官庁が癒着している訳だ。天下りの例も載っている。
また日本における規制の虜例としては、「原子力安全保安院は、安全に問題があると言われているのに、震災の1ヶ月前福島第1原発の1号機に10年の使用延長を許可した」と書いてあった。
業者と役所が癒着しているのは日本だけではない。外国にもあるのだ。日本だけ見ていると、日本嫌いになってしまう。但し、日本の方がアメリカより癒着が甚だしいかも知れない。
・リンク
http://www.j-cast.com/2011/03/24091192.html?p=all
http://en.wikipedia.org/wiki/Regulatory_Capture
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