「そんな事実はない」と言う人は頭がおかしい [*国語]
【2011年12月11日に掲載、12日に訂正】-まだ取り上げていない、とんでもない表現がある。それは「そんな事実はない」という異常な言い方だ。
丸っきり成り立たない表現だ。「事実」は「実際にあるもの」「起きたこと」といった意味だから、「それがない」と言える訳がない。「実際にあるものはない」と言ったら、狂っていると思われる。「そんな現実はない」と言えないのと同じだ。
だが日本には「そんな事実はない」と言ってのける痴れ者が何万人もいる。
政治家などが、こう言うのは定着している。閣僚や官僚が国会で疑惑を追及された時、大抵この異常表現を使って否定する。「それは事実ではありません」と、正しい言い方で反論した審議は見たことがない。
企業が問題を起こして批判された時も、広報部は大抵こう言って否定する。「病、膏肓(こうこう)に入る」と言っていい状態だ。
だが、このようなことを言うのは「その指摘は本当だ。事実だ。」と半分認めているのだ。事実だから、こんな異様なことを言ってしまうのだろう。実際に疑惑は事実のことが多い。
・事実は虚偽でない
「虚偽の事実」と、あり得ないことを言う人もいる。「事実」は「本当のこと」だから虚偽な訳はない。ただ「虚偽」と言えばいい。
清武氏はナベツネ氏の人事介入を糾弾したが、それに対して桃井恒和・球団社長は11月18日、「独断で記者会見を開き会社を混乱させ、会見の中で誤った事実を公表して読売新聞グループのイメージを著しく悪化させた。」と語った。
「誤り」なら「事実」ではない。「会見の中で誤りを公表して」とだけ言うべきだ。
清武氏の公表したことは誤りでないと思っているから、こんな歪んだ言い方をしたのだろう。
公人たちは異常表現をやめて欲しい。若者は精神が病んで、別種の異常表現を生み出してしまう。
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