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生成文法と英語研究の危機 [英語学]

【2012年05月06日】-前回の続きを書く。本当は生成文法とは何かを説明しなければならないが、それは大変なのでまたの機会に譲る。

 今回は私が最近感じた他の事例を書くことにする。

 先日、本屋で『英語語法レファレンス』という本を手に取った。著者は柏野健次氏で、三省堂が2010年7月に発行した。氏は大阪樟蔭女子大学の教授だが、失礼ながらこの大学は初めて聞いた。

 以前なら、こんなことはなかったろう。東京の有名大学の英語教師は軒並み生成文法をやっているので、出版社は大阪の先生に執筆を依頼したのではないかと思った。

・中学教科書
 また同じく三省堂が出している中学教科書の『ニュークラウン』を目にする機会もあった。著者として十数人の大学教師の名が並んでいたが、こっちも聞いたことがない大学ばかりだった。

 この教科書はやたらに難しいが、問題がある。イギリスではMrやMrsのような略語を書く時ピリオドは打たないが、アメリカではMr.やMrs.のようにピリオドを打つ。『ニュークラウン』はアメリカ英語を教えているはずなのに、ピリオドがないのだ。

 また引用符で文が終わる場合、He said, "I'll go."のように."と書くのが普通だが、この教科書ではHe said, "I'll go"のようにピリオドを打たない。こんな表記はないと思う。

 さらにインターネットで公開している「ワークシート」の中学1年の分には、「私たちは毎日バスケットボールをしません。」を表すように、

We ( play / don't ) basketball every day.

を並べ替える問題が載っている。

 正解は We don't play basketball every day. だが、これは部分否定の文だ。だが日本文は全面否定の文のように読める。

 つまり英文では「バスケットボールは毎日はしないが、週に数回はする」といった意味なのに、和訳では「バスケットボールは週に1回もしない」とも受け取れる。「私たちはバスケットボールを毎日するわけではありません。」と訳せば、部分否定がはっきりする。だがどう訳そうとも、中1の教材にはふさわしくない。

 生成文法の論文ばかり読んでいても中学や高校の英語教科書は書けるはずだが、中学教科書を書くのは生成文法の分からない二流学者なのかと疑念が湧いた。

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