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印欧祖語には格が八つあった [英語学]

【2012年05月24日】-前回Old English では代名詞2語にだけ具格が残っていたと書いた。

 インド・ヨーロッパ語族に属する言語は印欧祖語から分かれたと考えられているが、印欧祖語には格が八つあった。主格、属格(ぞっかく)、与格、対格、奪格(だっかく)、具格(ぐかく)、所格(しょかく)、呼格(こかく)の八つだ。

 属格は所有格と同じだ、

 与格の基本用法は、「誰かに何かをあげる」と言う文の「誰かに」に当たる形だ。対格はその文の「何かを」が取る形だ。

 所格は場所を表す格だ。英語などでは「どこかで何かをした」と言う時、「どこ」の前に前置詞を置くが、リトアニア語などでは所格にする。

 呼格は「太郎!}や「花子!」と、人に呼びかける時に使う格だ。ラテン語や古典ギリシャ語にも、ある程度残っていた。

 印欧語には格が八つあったが、それが融合して減ってきた。現代英語では主格、所有格、目的格の三つに減ってしまった。ドイツ語では四つ、ロシア語では六つだ。

 八つの格が段々減ってきたというのは歴史言語学では常識なのだが、英語学者はサンスクリット語や印欧祖語を勉強しないのか、立教大学で英語史を教えていた教師は「どうしてtheやwhatにだけ具格があるのか分からない」と言っていた。

 幅広く勉強しないと、基本的なことも分かるようにならないものだ。

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