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東大の駒場と本郷の対立 [教育]

【2012年07月29日】-大学に幾つかキャンパスがある場合、学部によって違うことがある。例えば早稲田の文学部は、政経学部など大学本体から数十メートル離れた戸山にキャンパスがある。

 だが東大の場合はそうではなくて、教養学部は駒場キャンパスにあり、専門課程は本郷キャンパスにある。駒場には旧制の第一高校があったが、その建物と教員が東大の教養学部に移ったのだろう。旧制高校の教育程度は現在の高校より高く、今の大学の教養課程のようなことを教えていたらしいから、ちょうどよかったのだろう。

(ちなみに今の高校は戦前の中学が昇格した。都立小石川高校は旧制の府立五中だった。日比谷高校は府立一中だった。戦前、東京は府だった。また今の中学は戦前の組織とは関係なく、昭和21年4月に新設した。)

 東京帝大と第一高校は戦前からちょっと対立していたらしい。高校の教師も肩書きは教授で専門領域を持っていたから、ライバル意識が強かったに違いない。

 戦後両校は合併したから、対立は明白になったと思う。同じ大学の教養学部と専門学部だから、上下関係ははっきりしている。

 だが教員の数は教養学部の方が多い。特に語学はそうだ。大学の教養課程では誰もが外国語を勉強するからだ。

 文学部英文科の専任教員は10人足らずだが、教養学部に英語の専任は50人くらいいるようだ。

 教養学部に属していても教員は専門領域を持っている。教員の数が多ければそれだけ研究の厚みは増すから、教養学部の方が研究も教育も程度が高くなるだろう。

 また東大の教養学部は特殊で、専門課程もあるのだ。英語や経済学を専門的に学べる。科学史のような新しい領域もある。だから本郷と駒場の関係は複雑になってしまう。

 ちなみに英語学に関して言うと、文学部に英語学の教員は二人だけで、二人とも生成文法をやっているので、文学部に進級した場合は認知文法や英語の史的研究(英語史や語源)で卒論を書くことはできないようだ。

 本郷には言語学科もあるが、教養学部には英語音声学の教員もいるので、英語学は教養部の方がしっかり勉強できそうだ。

 だがそれは教養学部・教養学科・超域文化研究分科・学際言語科学コースで行うという。制度の複雑さが名称にも現れているのだろうか。

 駒場の先生が本郷に教えに行くこともあるから、文学部進級がそんなに不利な訳でもない。

 20年ほど前、教養学部には廣松渉(哲学)、村上陽一郎(科学史)、蓮實重彦(フランス文学、後に学長)、舛添要一(政治学、後に国会議員)、西部邁(経済学)、見田宗介(社会学)など有名な学者が何人もいた。

・参考資料
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/academics/fas/dhss/ics/gengokagaku/ 

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