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グローバル人材は、人口の数%で充分だ [教育]

【2013年06月09日】-「グローバル」という言葉が流行っている。「世界的な」という意味の形容詞だが、「グローバリゼーション」も軽薄だ。15年くらい前までは「国際化」が流行り言葉だった。表現は違うが、同じことだ。

 安倍政権は「グローバル人材の育成」を前面に出しているが、文科省や経産省は10年くらい前からそんなことを考えているようだ。インターネットには役所の報告書が出ている。

 「グローバル」が流行りだからか、IGSという学習塾とADKという広告代理店がネットで「グローバル人材をどう思うか」というアンケートを取った。読売新聞が報じた。

 高校生や大学生の半分が、「今からグローバル化のための教育を受けても自分は間に合わない」と感じているそうだ。外国でも、留学して外国企業に勤める人は人口の数%だろう。全員がグローバル人材になる必要はない。グローバル流行は劣等感を生みかねない。

 IGSと見た時、そんな名の個別指導塾があるので「それか」と思ったが、調べたら別の塾だった。読売が取り上げたIGSは渋谷に本拠を置き、アメリカの大学を受験する子供に勉強を教えている塾だ。

 IGSはInstitution for a Global Society の頭文字だが、institutionは「団体」の意味だから、instituteの方がよい。塾頭の英語力は怪しい。個別指導のIGSは何の略か分からない。

 Institution for a Global Societyの塾頭は慶応大や筑波大で学び、東京銀行や外資で働いたという。華麗な経歴だが、ちょっといんちき臭い。外人の先生は化学と音楽が専門だから、ディベートなどを本格的に教えるのは無理だろう。

 2010年に設立したが、毎週土曜日に体験授業をやっているという。塾は普通、体験授業をそんなにやらない。塾頭は「現代ビジネス」に連載しているが、3回目は明らかに宣伝だ。うまく生徒が集まっていないのだろう。高校を出てすぐ名門大学に留学したい子供は多くない。

 ここでは中1から、TOEFLを目標にした授業をやっているという。早稲田アカデミーなどにも、高卒後の留学を目指す部門がある。自民党や政府だけが先走っているのではないようだ。

 IGSは言葉遣いが不自然だ。「学習塾」は普通あまり勉強のできない子供を教える塾だ。有名大学に進みたい子供を教えるのは進学塾だ。イギリス人の経歴に「英才教育高等学校(Bishop Words-
worth’s School)」とあるが、「名門高校グラマー・スクール」と言うべきだ。

 個別指導塾が増える一方で、高校を卒業したらすぐ留学する子供がいる。ここでも格差が大きくなっている。

・参考資料
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130608-OYT1T00091.htm

http://iglobalsociety.com/

http://www.adk.jp/html/news/2013/20130607_001819.html

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35818

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