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都知事はまた石原氏か。知名度だけで決めてもいいのか。 [政局]

【PJ 2007年04月13日】-今週の日曜日、4月8日には統一地方選挙があり、東京都知事選挙も行われた。実質的に、石原慎太郎氏と浅野史郎氏の一騎打ちになった。

 私は、石原氏は落選して、浅野氏が知事になるだろうと、思っていた。石原氏は、オリンピックを東京で開催したいと言うし、海外視察の時に豪遊したり、画家の四男に都の仕事を与えたりしたから、都民は愛想を尽かしているだろう、一方浅野氏は宮城県知事を三期も務めて実績があるし、行政をまじめに考えているから、当選するだろうと、予測していた。この推測には、私の願望も入っていた。

 だが結果は、石原氏が281万票を獲得して、当選した。この票数は、投票した人の半分に相当する。浅野氏は169万票だった。次の吉田万三氏(共産党推薦)は、62万票だった。大差で、石原氏が当選した。

 都民の大半は何を考えて投票したのか、いぶかしく思う。選挙公報を見てみると、浅野氏の方が真剣に考えているのが分かる。挨拶に「私は格差社会に我慢できない」などと書き、公約として震災対策や水の浄化などを挙げて、具体的だ。石原氏の方は、挨拶に「満足度世界一の東京を作りたい」などと書いた。抽象的だ。公約は8項目挙げたが、「ものづくり東京を実現します」など、スローガンのような言葉ばかりで、具体性に乏しい。

 インターネットで調べてみると、浅野氏は公約を詳しく書いて、PDF で15ページにも及ぶマニフェストを発表していた。一方、石原氏は、ウェブ・サイトに公約を載せていなかった。
 今回の選挙の大きな争点は、オリンピック誘致の是非だが、石原氏に投票した人達は、また東京でオリンピックを開催したいのだろうか。浅野氏は五輪開催に反対したが、選挙民は同氏の公約を、ちゃんと読んだのだろうか。

 五輪は今後、2008年で中国で行い、2012年はロンドンだから、IOC が2016年の開催地をまたアジアにすることはないらしい。だから、東京で開催することはできない。誘致するには、IOC の委員に説明したり、接待したりして、金がかかる。誘致できなければ、その公費は無駄になる。今回石原氏に投じた人達は、後で公費を無駄にしたと、怒らないのか。
 石原氏が選挙戦では低姿勢で通し、不祥事を謝ったことも、当選につながったのだろう。銀行税や新銀行東京では失敗したが、ディーゼル車の排ガス規制なども、評価されたのだろう。

 浅野氏の側にも、問題はある。出馬宣言が遅れたし、国旗国歌の指導に反対した。君が代や日の丸を肯定しないと、左翼は支持しても、保守派からは相手にされない。

 だが結局、投票した人の半分が石原氏を支持したのは、浅野氏より知名度や人気があるからではないか。公約を読み、候補者の実績を考えて、誰に投票するのか、決めたのではないと思う。朝日新聞の出口調査でも、「公約や政策」で選んだ人より、「資質や魅力」で選んだ人の方が、多かった。(朝日新聞4月9日付「石原氏、低姿勢で逆風かわす」)

 この選挙に限らないが、有権者は真剣に候補者を見ていないのだ。「有名だから」「ポスターがたくさん貼ってあるから」などの理由で投票する人の方が多い。選挙翌日の9日、テレビを見ていたら、石原氏が7日、江東区の商店街を遊説する様子を映していて、おばちゃん達がはしゃいでいた。政策や実行力より、知名度や人気で、候補者を見ているのだ。

 日本にはまだ、議会制民主主義が根付いていない。人気や知名度によって、誰に投票するが決める人の方が多い。選挙によって、少しでも優れた人を議会に送り、政治を行うという仕組みが、うまく機能していないのだ。

 だが、悲観することはない。知名度で投票する人の方が多いが、公約や意欲を判断して、投票する人も多い。今回、浅野氏は169万票も取った。これから、報道や教育によって日本人の意識を高めていけば、合理的な思考ができる人はもっと増えて、本当の選挙ができるようになると思う。【了】

 ライブドアのサイトで読むのなら、http://news.livedoor.com/article/detail/3118462/ で。


タグ:石原慎太郎

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