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極端な安売りがデフレを招く [*経済]

【2009年11月23日】-日本政府が20日デフレ宣言をしたので、メディアは突然デフレを取り上げ始めた。3月あたりから消費者物価はマイナスになっていたのに、政府のお墨付きがないと扱わないのだから主体性が低い。

 景気が悪いからデフレになっているが、要因は他にもある。極端な安売りだ。

 商品の売れ行きが悪いと、小売り店は自然に値段を下げるものだ。だが最近は大手の小売り店が極端な安売りをしているので、余計に物価が下がり、デフレが進行していると思う。

 特に衣料品で、極端な安売りが多いようだ。ユニクロやドン・キホーテは何年も前から安く売っているが、最近はダイエーや西友も千円以下のジーンズを売っている。百貨店も値引き合戦に加わっている。

 ユニクロやドン・キホーテは元々安売りの店だから、格安でも採算が取れるが、スーパー・マーケットは特別な努力をしているようだ。また百貨店は元々高級品を売る業態だから、安売りをすると利益が出なくなってしまう。

 テレビを見ていたら、どこかのスーパー・マーケットが弁当を190円で売っていたので驚いた。普通は400円くらいする量と質だったと思う。

 電気製品でも、ネットブックという安いノート・パソコンが売れている。処理能力は低く、画面は10インチくらいだが、4万円くらいで買える。

 富士通は先月末、CPU に Core 2 Duo を搭載したノート・パソコン(FMV-BIBLO LOOX C/E70)を10万円以下で売り出した。(ビック・カメラでは今日の時点で 94,800円だ。)以前なら13万円はしただろう。

・零細企業は倒産
 190円の弁当を売っている会社の社員は「安い弁当を売ることによって、この地域のお客様の生活を豊かにしている」と誇らしげに語っていた。だが、近所の弁当屋は存亡の危機に瀕しているはずだ。

 またこの店も190円では弁当が作れなくなった時、客にそっぽを向かれてしまう。ライバル店を潰し、いずれ自店の経営も悪化させるやり方がいい訳はない。誇れることではない。

 Japan Today は10月8日、『週刊プレーボーイ』(10月19日号)の記事を参考にして、国産の老舗ジーンズ・メーカーの苦境を伝えた。「ボブソンやビッグ・ジョンのジーンズは、4千円から5千円するので売れない。ユニクロなどの安売りのため、倉敷市児島の零細企業は経営が悪化し、去年は社長が二人も自殺した。」などと書いた。

 倒産や失業者が増えれば、物の売れ行きは更に悪くなってしまう。極端な安売りは一時的には生産者と消費者を潤すが、長期的には経済を破壊してしまう。

・企業は極端な安売りをやめよ
 安くしないと売れないのは分かるが、余りに安くするとデフレ・スパイラルに陥って、経済は崩壊してしまう。企業は極端に安く売らないようにすべきだ。今までより1割か2割の値下げにとどめるべきだ。

 また消費者側の倹約傾向も度が過ぎると、経済を縮小させる。毎日新聞の11月22日付の記事には、「川崎市の主婦(30歳)は以前は月に3万円貯金していたが、夫の給料が1万円減った4月から7万円貯金するようになった」事例が出てくる。節約は必要だし、こんなに倹約できるのは偉いが、貯金のしすぎだ。

 こうやって節約したら、物の売れ行きがもっと落ちて、もっと景気が悪くなる。目先のこと、自分のことしか考えていない。過度の節約もやめるべきだ。

 このエントリーを書き始めてから、東京新聞が10月27日付で「値下げ競争がデフレを生む」と書いていたのを見つけたが、主張がしっかり伝わって来ない書き方だ。メディアが問題の解決に真剣に取り組まないのも、景気悪化の一因に違いない。

・リンク
Japan Today :
http://www.japantoday.com/category/kuchikomi/view/domestic-jeans-makers-panting-for-survival

毎日新聞 http://mainichi.jp/select/biz/news/20091122ddm008020068000c.html

東京新聞 : http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/trend/CK2009102702000071.html


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