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メディアの流す就職状況は余りに皮相 [*経済]

【2011年02月05日】-もう2週間くらい前だが、1月23日「にほんブログ村」の「政治評論人気ランキング」のページで、「就職内定率 大前研一氏は目立ちたがりの詭弁家」という題を目にした。最近就職状況に関心があるし、大前研一氏には以前から一目置いているので、気を引いた。

 「言いたい放題」というブログが1月20日に載せたエントリーだ。大前氏が「日本は就職氷河期といわれているが、今春の大学新卒者の就職率は91.3%。これは世界最高水準である。中国は70%、韓国は50%、イギリスは30%でしかない。」と論じたことを批判した。

 「ここでいつもの大前研一氏の数字を羅列した詭弁が始まった。」と酷評しているから、前から大前氏の議論を嫌っているのだろう。

 確かに外国の数字を持ち出して、「日本の就職率は他国より高いから氷河期ではない」と言うのには無理がある。だが大学生が増えたために内定率が下がったのは確かだから、これについては「詭弁」ではない。

 大前氏は「優秀でない学生のために公金(税金)を使うな」と過激なことも主張しているが、大手メディアの流す報道と違っていて厳しい内容だと、「詭弁」と拒否するのでは困る。

・引用も不正確
 大前氏がどこでそんなことを述べたのか、その人は全く書いていない。「きっとインターネットにあったのだろう」と思って、色々探したら「ニュース・ポスト・セブン」というウェブ・サイトにそのような大前氏の文章が載っていた。小学館が開設したサイトで、『週刊ポスト』『女性セブン』『サピオ』に載った記事を集めてあるようだ。

 この人が引用したように、大前氏は10月6日付の記事で日本と外国の就職率を比較しているが、次の部分は大前氏の文章にない。

「実は氷河期どころか、この20年で大学新卒の正社員就職数は2割以上増えている。その一方で何が起きているのかというと、大学の激増と大学進学率の上昇である。20年前の進学率は約2割ほどだったが、今は5割を超えた。大学生数は1985年に185万人だったが、2009年には285万人と100万人も増えたのだ。」

 探してみたら、同じ「ニュース・ポスト・セブン」に海老原嗣生氏が1月16日付で書いた文章からの引用だった。両記事をごっちゃにして引用したのだ。

 他のエントリーも雑だが、そんなに的外れではない。大前氏が嫌いだから、このエントリーでは特にいい加減になったのかも知れない。

 いずれにしても大手メディアの表面的な報道を信じてしまって、本質的な議論を聞いたら、それを「詭弁」と言うのでは困る。誤解する人が出るから、皮相報道は罪深いのだ。
 

・リンク
http://ameblo.jp/jijineta219/entry-10774038078.html
http://www.news-postseven.com/archives/20101006_2689.html
http://www.news-postseven.com/archives/20110116_9723.html

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