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「リニューアル・オープン」も和製英語 [英語教育]

【2011年07月24日に掲載、26日に加筆訂正】-前のエントリーの終わりに、「オープンを勝手に『開店』という意味で使うのも、この語には名詞の用法がないことを知らないからだ。」と書いたが、openに名詞の用法が全くないのではない。「空き地」や「オープン・トーナメント」という意味でなら名詞の用法がある。だが、「開店」という意味はないのだ。動詞の「開店する」ならある。

 ところが日本では「オープン」を名詞としても使う。日本語では「開店」に「する」をつけて「開店する」と言うから、何となくopenにも名詞の用法があると思い込んでいるのだろう。英語で「開店」と言いたいのなら動名詞にしてopeningと言えばいい。

 「オープン」を名詞として使うのが間違いなのだから、「リニューアル・オープン」も和製英語だ。「新装開店」を訳してこう言っているが、英語のrenewalには「新装」「改装」という意味もない。「リニューアル・オープニング」と言っても、ちゃんとした英語ではない。

 「新装開店」は「新装してから開店する」の意味だが、「新装」と「開店」を英訳してただ並べても、英語にはならない。「新装」はrefurbishmentというが、refurbishment openingと言っても意味をなさない。

・「グランド・オープン」も
 また「グランド・オープン」も広まっているが、これも間違いだ。openは動詞だから、修飾する語はgrand という形容詞では駄目で、grandlyという副詞にすべきだが、grandly openは不自然な表現だろう。grand openingならある。

 このような思考法を教えなくてはならないが、大半の中学高校ではちゃんと教えない。大学でもめったに教えない。英語ができる者は極端に少なくて当然だ。

 「プレオープン」も和製英語だ。大きな英々辞典を引いてもpreopenという語は出ていない。数学の専門用語としてはあるようだ。一般的には使わない特殊な語を日本では多用しているのだ。

 マンション業界は特にひどくて、モデルルームを「プレオープン」してから「グランド・オープン」する。2回もオープンするのだ。間違いでも何でもいいから盛り上げて金を儲けようというさもしい根性だ。

 オープン・キャンパスも和製英語のようだ。「日本は馬鹿連合」と言っても誰も反論しないだろう。
 

・参考資料
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q117015181
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q118590096

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前置詞の前に名詞を置くのは無学者 [英語教育]

【2011年07月24日】-英語の専門家や真剣に勉強している人は和製英語を忌み嫌っているが、和製英語の問題性は様々だ。英米人はそう言わなくても文法的にあり得る形だから、許容できるものもある。一方、文法的に絶対にないので、断じて認められないものもある。

 英語には(フランス語やドイツ語にも)前置詞という品詞がある。日本語の助詞(「~に」や「~で」)に当たる語だ。実例を挙げると、at, in, onなどだ。

 日本語では名詞のあとに助詞を置いて、「日曜日に」などと言う。英語などヨーロッパ語ではon Sundayなどと名詞の前に前置詞を置く。前置詞の名の由来はこれだ。名詞の前に置くから前置詞(preposition)と言うのだ。(前置詞は元々副詞なので、ドイツ語などでは名詞の後ろに置く語も少しある。)

 だが時々Sunday on といった類の和製英語を見かける。on Sundayのつもりだろう。池袋のブルース・バーの看板にそう書いてあるのを見て、驚愕したことがある。Delta Blues Sunday onなどとあった。支離滅裂なので、意味を取るのに考えた。「日曜日はデルタ・ブルースをかける」のつもりだろう。Delta Blues on Sundayと書くべきだ。

 ブルースを一晩中かけているから、英語の歌が多いはずだ。英語の歌を散々聴いている店員が、こんな基本的なことも知らないのだ。英語でこんな語順は見たことがないはずだ。それなのに日本語に釣られて、いつもこんな恥晒しなことを書いている。軽蔑せざるを得ない。

・大企業も無学文盲
 零細企業だけが前置詞の使い方を知らないのかというと、そうではない。大企業も知らない。

 化粧品会社などはリンスを含んだシャンプーを売っていて、大抵「リンス・イン・シャンプー」と称している。これでは「シャンプーの中のリンス」は表すが、「リンスを含むシャンプー」は表さない。英語では「名詞1+前置詞+名詞2」という語順だと、前置詞は名詞2と組み合わさって、名詞1を修飾する。

 shampoo with rinse in it と言えば「リンスを含むシャンプー」が表せて文法的にも正しいが、英米ではtwo-in-one shampooかconditioning shampooと言うそうだ。conditionには「整える」という動詞の用法がある。ここではそれだ。

 東洋水産は2009年からテレビ・コマーシャルにSmiles for All と書き、「すべては笑顔のために」という訳語も添えている。この英語もどきは決してこの意味を表さない。「全員に笑顔を」という意味にしかならない。

 「すべては笑顔のために」と言いたいのなら、All for Smiles かEverything for Smileだ。前置詞はあとに来る名詞と組み合わさる。前にある名詞とではない。

 東洋水産の幹部は一流大学を出ているだろうが、英語の基本も身につけていないのだ。この和製英語は余りにひどいので、「ヤフー!知恵袋」に2件も質問が出た。

・品詞を覚えるべし
 企業だけでなく消費者も無学だから、こんな英語がはびこるはずだ。英単語を覚える時には品詞も一緒に覚える必要があるが、前置詞や従属接続詞は特にそうすべきだ。品詞を覚えないと使い方が分からない。openを勝手に「開店」という意味で使うのも、この語には名詞の用法がないことを知らないからだ。

 中学や高校の英語教育は完全に失敗している。文法ばかり教えているのではない。文法をろくに教えていないのだ。正反対のことを言っていたら、英語教育はもっと駄目になる。日本は馬鹿連合なのだろうか。

・参考資料
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_genres_of_the_blues
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1020872115

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1323860068
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1431960759

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