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ドイツ語でも「なぜ」は特別 [英語学]

【2012年05月22日】-英語のwhyには特別な用法があると書いたが、ドイツ語でも同じだ。ドイツ語で「なぜ」を表す語はwarum(バルム)と言うが、これもwhyのように名詞1語とだけ文を作れるようだ。『木村相良独和辞典』(1963年)には次の例文が載っている。

Warum nicht?(なぜそうでないのか。なぜいけないのか。)

 スペイン語でも同じように言えるそうだ。
Por que (con) Maria?(なぜマリアとなのか。)

 ドイツ語やスペイン語でも名詞1語とだけ文を作れるのだから、英語の中だけで考えても解決しない。

・語源
 英語とドイツ語では基本的な語は語形が似ていることが多いが、whyとwarumはかなり違う。

 whyはwhatの具格(instrumental)だ。具格は印欧祖語やサンスクリット語にあった格で、道具や理由を表した。リトアニア語にはまだ残っている。他の言語では他の格と融合して、なくなってしまった。ラテン語やギリシャ語にもない。

 Old Englishではtheにも具格が残っていて、それもまだある。The more, the merrier.(多ければ多いほど楽しい。)のように比較級の前に置くtheがそれだ、「その」という定冠詞の用法とは根本から異なる。

 ドイツ語のwarum はwas+um だ。wasは英語のwhatに相当する。他の語と融合する時はwar-と形を変える。

 umは「~のまわりに」や「~のため」という意味の前置詞だ。Old Englishにはymbという相当する前置詞があったが、前置詞としては消えてしまった。今ではember day(四季の斎日)としてだけ残っている。

 umはラテン語のambi-やギリシャ語のαμφι(amphi)とも関係があるようだ。

・参考資料
http://www.englishforums.com/English/LearnTypeQuestions/jrwvx/post.htm

http://babel.ucsc.edu/wccfl/abstracts/Papers/nakao-yoshida-ortega-santos-bunka.pdf

http://www.ling.uni-potsdam.de/~glow/col/yoshida-nakao-ortegasantos.pdf

http://ling.umd.edu/~lasnik/LING819%202011/Lasnik%20'Multiple%20Sluicing'.pdf

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タグ:why warum
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