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英文法の研究は日々進んでいる [英語学]

【2012年07月10日】-5月4日付のエントリーで「言語学や英語学を知っている人は少ない」と書いたが、「英文法を研究している」と言っても理解してもらえない。

 一般の人は英文法の研究が進んでいるとは思っていないようだ。英文法というと、中学や高校の時に学んだ規則や文型を思う浮かべ、そのようなもの研究が済んでいると思っているようだ。

 それはとんでもない誤解だ。英文法の研究は進んでいる。

 こう書くと哲学や思想をやっている人は、「チョムスキーの始めた変形生成文法を指しているのだろう」と思うだろうが、生成文法ばかりが進んでいるのではない。他の分野でも進んでいる。

・学問的英文法
 生成文法は学校で習う英文法とはかなり違う。英文を解釈するための知識ではなく、文構造を合理的に説明するための理論だ。言語現象の説明と文法理論の構築を目指していると言える。

 だが文法研究には理論とは関係なく、言語現象そのものを研究する分野もある。これはチョムスキーが出る前からずっと続いている。

 1890年頃から1930年頃までの間、イェスペルセンやカームといった学者が、英文法を学問的に研究した。これを伝統文法と言う。(ノース・ウエスタン大学にいたカームは、元々ドイツ文法を研究していた。)

 そのあとアメリカではブルームフィールドやグリーソンが構造言語学を始めた。この中からチョムスキーが出て来た。

 1970年頃から、生成文法を取り入れた文法書が出始めた。クワーク(1985)やハドルストン(2002)の記述文法書は有名だ。

 このような文法書は固定観念に囚われていないので、面白い。一面的に決めつけることはない。一方、中高で教える文法は「学校文法」や「学習文法」と言って、杓子定規で詰まらない。

 文法理論にも生成文法の他に、ハリデーの機能文法や認知文法がある。

 英文法の研究は百花繚乱の様相を呈している。生成文法ばかりと思わないで欲しい。 

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