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左翼雑誌の『サイト』を読んで、出版不況を考えた [*マスコミ]

【2009年06月22日】-20日のエントリーで左派の雑誌に『サイト』を挙げた。音楽評論家の渋谷陽一氏が創った、比較的新しい雑誌だ。

 渋谷氏は、35年前からポピュラー音楽を評論しているベテランだ。以前から『ロッキング・オン』という雑誌を作っている。編集長だけでなく、出版元の社長も務めている。

 その渋谷氏が10年前創刊した季刊誌が『サイト』だ。音楽ではなく政治経済を論じる雑誌だ。私は3年くらい前に知った。アメリカのイラク攻撃を情緒的に批判していたから、左翼だと思った。音楽業界にも左翼はいる。左翼汚染は意外なほどに広まっている。

 3週間くらい前、地下鉄に乗っていたら、50台のおばさんが表紙に「さよなら自民党」と書いた雑誌を読んでいたので、目を見張った。オフィス・ワーカーに見えないおばさんが、政治の雑誌を読むのは珍しい。(読んだ方がいい。)

 その表紙をよく見たら、『サイト』と書いてあった。「あの雑誌がそんな特集をしたのか。読んでみよう。」と思った。左翼だから「さよなら自民党」と題したはずだ。右派なら「しっかりしろ自民党」にするだろう。その『サイト』をやっとおととい本屋で読んだ。(つまり立ち読み。)

・的外れだった
 特集は専門家にインタビューする形で、まず藤原帰一に日本の外交について訊いた。藤原は頭の中が真っ赤の強烈左翼なので、読めば不快になると思って、飛ばした。

 次には、小野善康という経済学者に景気についてインタビューした。岩波書店から本を出しているから、左翼がかっていると思ったが、前からちょっと注目していたので、読んでみた。(あまり右か左かを気にしてはいけないけれど、左はすぐ企むので、左を読む時は注意しないといけない。)

 詰まらないインタビューだった。話の中心は景気が悪くなった経緯で、「1970年頃まではみんな貧しいから一生懸命働いて、貯金をし、企業は銀行から金を借りて設備投資をした。だが、1990年代からは豊かになったので、物を買う気はなくなった。以前のような循環はできなくなった。」などと語っていた。豊かになると経済が回らないのなら、バブル景気を全く説明できない。

 結論は「景気をよくするためには環境保護をやるべきだ」だから、驚いた。環境保護運動を盛り上げて、景気をよくできるか。リサイクルをすれば、新品の売り上げは落ちる。左翼は、環境問題が好きなのだ。

 読み終えて、「これでは景気はよくならないし、雑誌も売れない」とつくづく思った。それとも左翼は革命を起こすために、もっと景気を悪くしたいのか。

・医者のインタビューも中途半端
 小野氏の次は、小松秀樹氏に医療について訊いた。この人の本には、5月7日付のエントリーで触れた。このインタビューも前半はひどかった。「『日本人はタダで病気を治してもらえる』と思っている」などと話していた。病院に求めすぎの人は多いが、タダで治療してもらえると思っている人はいない。

 後半はよかった。「地方の公立病院には議員が抗議に来るし、議員経営の会社の物を買わせるから、民営にした方がいい」などと具体的な話をした。ここだけは読んだ方がいい。小松さんはあの本を書いてから、医師の間では医療改革の旗手のようになっているようだが、医療以外のことは知らないと見える。

・出版社のせいで景気もよくならない
 経済を知らない経済学者が有名大学で教えていて、雑誌にも頻繁に出るのだから、驚きだ。呆れながら読んだので、よく覚えていない。そのため私の要約は不正確だろうが、小野氏の話が無駄だったことは確かだ。

 エコノミストの森永拓郎氏は6月12日、日テレの『ミヤネ屋』で、「景気をよくするには金融緩和、財政出動、不況マインドを変えることが必要だ」と話していた。「不況マインドを変えること」は「不景気だと悲観しすぎないこと」だ。妥当な見解だと思う。

 『サイト』は買わなくてよかった。また部屋に印刷物が増えてしまうところだった。出版社の人達は「インターネットや携帯電話のせいで売れない」などと言うが、内容がよくないなら売り上げが落ちるのだ。

 前から本や雑誌は暇つぶしに買う人が多かったのに、ネットが普及したら暇つぶしはネットでする人が増えたのだろう。大半の出版社は前からサボっていて、そのツケが10年も前から回ってきているのに、まだサボりを自覚さえしていないようだ。

 J-CAST は5月30日付の記事で、女性雑誌の動向を伝えた。「『モア』や『キャン・キャン』など有名な雑誌は、部数を落としている。広告主の意向を汲んで、流行を押し付けるからだろう。一方、『スイート』や『スプリング』など、新しくても丁寧に作っている雑誌は、部数を伸ばしている。」などと書いた。安直な金儲けでなく、読者の立場に立って作れば売れるのだ。

 硬派の本や雑誌が必要なことを書かないと、政治はよくならず、景気も回復しない。出版社の連中は自分たちの売り上げばかり気にするが、出版の責任を考えていないようだ。無責任だから、商売も立ち行かなくなっているのに、まだ分からない。

 そんなことは何度も新聞テレビ向けの文書で書いたが、聞く耳を持たない。言葉遣いも直さない。売り上げの減少を嘆きながら、読者の意見に耳を傾けない。出版界の衰退は当然だ。

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