英語の受動態は動作主を言わないためにある [英語学]
【2011年07月15日】-もう少し、受動態に変換する文を考えてみた。第3文型の練習問題としても使える。
1. Mary loves John.
2. Everyone likes Jane.
3. My parents scolded me yesterday.
・受動態の目的
中学生向けの教材を見ていて内容が不自然だと思ったのは、語彙に制限があることもあるが、受動態にする必要のない文があったからだ。たとえば
This book is liked by me.(この本は私に好かれています)
はいかにも不自然だ。こんなことを言う人はまず考えられない。大抵、I like this book. か This book is my favorite. と言うはずだ。
能動態の文を書き換えて受動態を教えるが、元の文の主語をbyのあとに置き、元の文の目的語を主語に据えると長くなるだけで、何のために受動態にするのか分からない。
受動態は元の文の主語を言わないためにあるはずだ。何かをした人(動作主)のことはどうでもよくて、何が起きたのかを伝えたい時に受動態にするはずだ。たとえば
He was killed yesterday in a road accident.(彼は昨日、交通事故で死んだ。)
では誰が彼を轢(ひ)いたかは関心の的でなく、彼が亡くなったことに重点を置いているはずだ。よく「元の主語のby 以下は省略することが多い」と説明するが、動作主に言及したくないのだから省略するのは当たり前だ。
初級の段階だから仕方がない面もあるが、なぜ受動態の文を使うのか理由を言わないと、生徒は呆気にとられてしまうと思う。
・参考資料
http://choidebu.com/bunpou/ukemi.htm
Leech, A Communicative Grammar of English
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