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文学研究者の前田愛先生を忘れないで [芸能人]

【2009年10月30日】-テレビや雑誌で前田愛という名を時々見る。女優らしい。3月ごろ結婚を発表し、10月28日に中村勘太郎さんと式を挙げたので、今年になってから特に見た。

 テレビ・ドラマは滅多に見ないので、前田愛さんの顔は殆ど見たことがない。かわいらしい名前だが、私にはそんなイメージが全く湧かない。おじさんの「前田愛」に会ったことあるからだ。

 立教大学に通っていた時、国文学教授の前田愛先生の授業を取った。「あい」でなく「よしみ」と読む。女の子のような名前だが、男で中年だったから、前田愛という名を見ても私は若い女優を思い浮かべられないのだ。

 前田先生は樋口一葉などの研究をしていて、著作が多かったので学外でも有名だった。22年前に亡くなった。

 「他大学の友達に前田先生の授業を取った」と言ったら、羨ましがられたこともあるが、一葉などの話は聞いたことがないので、有名教授に習ったという実感を味わったことはない。

 私が取った前田先生の授業は文学ではなく、中村雄二郎著『哲学の現在』(岩波新書)を扱う授業だった。20年くらい前の立教文学部には共通科目という授業があった。文学部の学生は学科に関係なく取れる授業だった。一般教養課程に似ているが、内容はそれより専門的だった。

 共通科目には A から C まであり、A は1年の時の必修だった。半年12回くらいの授業で、本を一冊選んで本の読み方を勉強するという触れ込みだった。

 社会言語学者の鈴木孝夫氏の『ことばと文化』(岩波新書)を教科書にした授業もあったが、担当教師が英文科の担任だったのでやめた。

 哲学にちょっと興味があったこともあり、前田先生の授業にした。有名な先生とは知らずに取った。面白い学生が集まったのか、この授業で知り合った友達とは4年になっても付き合いが続いた。(朝日新聞に入った斉藤君は、授業が終わってから教室に現れた。)

・前田と中村
 前田先生がその本を選んだのは、哲学者の中村さんと仲がよかったからだろう。二人は文化人類学者の山口昌男氏らと、岩波書店の出す『へるめす』という雑誌を編集したこともある。

 中村教授は当時「共通感覚論」などを唱え、哲学者として有名だったが、明治大学では法学部に属していて法哲学を講じていた。大学で教えることは、普段本に書くこととは全く違っていたようだ。

 中村先生は、関西にいた経済学者の栗本慎一郎氏を明大の法学部に呼んで、法社会学の授業を担当させたから、ニュー・アカデミズムの立役者の一人だ。栗本先生は、裁判官を辞めたお父さんを明大に呼んで、法律の講義を担当させた。

・他の授業
 前田先生の『哲学の現在』を使った授業では、専門用語を使って哲学の話をした訳ではなかった。先生の専門の明治期の作家の話も出なかった。

 そこで申し込んでいないが、先生の他の授業に1度だけ出てみた。進め方は高校の現代国語に似ていた。吉本隆明の『共同幻想論』を取り上げて、大事な所を黒板に抜き書きしながら、解説していた。吉本のその本は安保闘争の時に売れたようで、「国家は幻想だから、なくしてもいい」と趣旨だろう。

 前田先生の影響ではないが、私はその後中村、山口の本を何冊も読み、栗本先生の授業を聞くために明大に数十回通った。先生の授業を選んだのは守護霊の働きかけだと思う。

 女優の前田愛さんは本名かも知れないが、既に有名人がいるのだから、違う名前にして欲しかった。今回インターネットで調べたら、声優と映像プロデューサーにも前田愛がいることが分かった。前者は女性だが、後者は男か女か分からない。

 前田先生と中村先生も仲がよかったが、今回前田愛さんと中村勘太郎さんが結婚した。不思議だ。

 ちなみに私が立教にいた頃、エッセイストの酒井順子さんや野球解説者の長嶋一茂君も通っていたようだ。二人とも私の後輩だ。面識はない。


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