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オランダ語でij を「エイ」と読む理由 [英語学]

【2011年05月22日に掲載、23日に訂正】-前回オランダ語ではijを[ɛi]と読むと書いた。不思議な読み方だが、これには次のような事情があるようだ。

 元々ij は[i:]を表していた。だが発音が段々変わって[ɛi]になったが、綴りは元のままなので、ijを[ɛi]と読むようになった。

 英語でもこのような音韻変化はある。iceは今では[ais]と言うが、元々は[i:s]と言っていた。「イー」が段々変わって、「アイ」になった訳だ。大母音推移(Great Vowel Shift)という現象だ。

 Great Vowel Shift が起きたのは15世紀から18世紀にかけてだから、起きる前に英語にあった語はこの音韻変化を受けている。だが、そのあと英語に入った単語はこの変化を受けていない。そのためフランス語から英語に入ったmachine やpoliceはiを[i:]と読んでいる。大母音推移は、英語で同じ綴りを何通りにも読む理由の一つだ。

 本来の[i:]を英語では[ai]と、オランダ語では[ɛi]と言うから、wine はオランダ語ではwijnと書いて[wɛin]と言う。(オランダ語でもwは大抵[v]と読む。ただし英語やドイツ語の[v]とはちょっと違う。)

・英単語にそっくり
 オランダの東部にナイメーヘンという都市があるが、Nijmegenと書いてオランダ語では[ɛime:xən](ネイメーヘン)と読む。(gはドイツ語のchのように[x]と読む。)元々は「ニーメーヘン」だったが、英語に入って大母音推移を受けたために「アイ」になり、オランダ語では「エイ」に変わったのだろう。日本語の「ナイメーヘン」という読み方は、英語から入ってきたのだと思う。

 他にもオランダ語特有の読み方を少し書いておく。

 oeは[u]と読む。例えばboek[buk]で、英語のように「本」の意味。発音は殆ど同じ。

 ouは英語のように[au]と読む。例はoud[aut]で、英語のoldと同源だ。ドイツ語のように、音節の終わりの有声子音字は対応する無声音として読む。

  uiは発音記号では[œy]と書くが、オランダ人の発音を聞くと[au]に聞こえる。例えばhuis だ。「家」の意味だから、英語のhouse と発音は殆ど同じだ。

 これだけ知っていると、オランダ語の基本的な単語は大体読めるようになる。

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