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英語の深い理解には英語史が必須 [英語学]

【2011年05月24日に執筆、29日に訂正】-段々英語史の領域に入ってきたので、少ししっかり説明しておこう。

 「英語にも古文がある」と言うと驚く人が多い。日本語に古文があるように、英語にも古文はあった。シェークスピアが活躍したのは16世紀だが、チョーサーは14世紀の詩人だ。もっと前の英文も残っている。

 英語がヨーロッパ大陸のゲルマン語から分かれたのは、西暦449年のことだ。この年アングル人やサクソン人はドイツ北部からブリテン島に移住し始めた。それまでブリテン島にはケルト人が住んでいたが、このあとアングル人などが増えていった。

 アングル人などがブリテン島に住み始めたのは5世紀半ばだが、初めのうちは文章を殆ど書いていない。7世紀になると文献を残すようになる。そのため英語の歴史は7世紀に始まると考えることが多い。英語は1150年頃に境にして発音や語彙が変わるので、ここまでをOld English と言う。

 そのあと1500年までをMiddle Englishと言う。1500年から現代まではModern Englishだ。1500年以降、英語の語彙や文法は大きくは変わっていない。つまり英語は3期に分けて考えるのが学界の定説だ。

Old English(古英語)(600年から1150年)
Middle English(中英語)(1150年から1500年)
Modern English(近代英語)(1500年から現在)

・各期の特徴
 Old English では名詞や形容詞が格変化し、ドイツ語のように4格あった。動詞の人称変化も、今より激しかった。今と全く違うので、イギリス人もしっかりと学ばないと理解できない。

 Middle Englishに入ると、綴りは違うが今の英語に近くなる。辞書を一生懸命引けば、大意はつかめる。

 Modern Englishになると、もっと分かりやすくなる。文法や基本語彙は殆ど同じなので、慣れれば大体分かるようになる。500年も前だが、英語の基本はこの頃から変わっていない。5年に1回、英語の中学教科書を作り替える必要はない。

 何語にも古文がある。突然現在の言語が現れる訳ではなく、百年前や千年前には現代語の祖先に当たる言語があった。古文を知らないと、現代語の仕組みはよく分からない。おとといからのエントリーを読んでも、それが分かるだろう。

 それなのに、英語教師は英語史の重要性を知らない。英語史を専攻している大学教師さえ重要性を悟っていない。嘆かわしい状況だ。

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