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就職内定率が低いのは、学生が大企業に固執しているから [*経済]

【2011年01月22日】-前回のエントリーの最後で、毎日小学生新聞の記事を批評したが、その記事にはそのあと「志望者が少ない中小企業は人手不足が起き、人材集めに四苦八苦しています。」と書いてあった。

 どうもこれが学生の就職内定率が低いことの本質のようだ。大学生は大企業志向が強く、中小に目を向けないから、就職が決まらないようなのだ。単純明快なことだが、一般メディアははっきり言わない。

 大企業の採用数は以前に比べて減っているのに、学生の側はそれに対応せずに、「このくらいの大学だから、これくらいの企業にどうしても入りたい」と思っているのだろう。

 それこそがミスマッチなのに、毎日小学生新聞などは「『即戦力』を求める企業側と、単純に有名・大企業を志望する学生との『ミスマッチ』が起きているとも言われます」と歪曲するのだ。

・『サピオ』と読売は合格
 「学生の大企業志向が就職難を生んでいる」という見方は、雑誌の『サピオ』で去年初めて見たが、他のメディアでは見たことがなかったので、信じられなかった。

 読売新聞も1月1日付の「就職氷河期なのに『人材確保できず』…北海道」という記事に次のように書いた。

「企業の従業員数別に大学・高専・大学院卒の充足状況をみると、従業員20人未満の38・1%、20~30人未満の企業の55・6%が『充足できなかった』と回答。一方、100人以上で『充足できなかった』と答えたのは17・9%にとどまっており、『学生の間には大企業志向が強く、地方や小さな企業に目を向けないケースもある』(道内私大就職担当者)との声も出ている。」

 この数字によって、北海道の学生が中小企業を避けている様子がはっきり分かる。学生は中小企業も選択肢に入れるべきだ。大手は採用数を減らしたが、中小企業は減らしておらず人手不足に陥っている。

・核心を突かない毎日と産経
 一方、毎日新聞は18日付の夕刊で中小企業の合同説明会を取り上げたが、学生の大企業志向をはっきりとは指摘していない。次のようにあるだけだ。

 「知名度がなく、大学で求人票を出しても学生が集まらないので参加した。中小企業のことも知ってほしい。」(企業の担当者の話)

 「中小企業にも業績を上げている企業は数多い。今からでも学生は視野を広げてほしい。」(明大職員の話)

 産経新聞は1月20日付の「主張」で就職難を取り上げたが、「大企業志向」には一言触れただけだ。

「大学生の就職内定率は、昨年12月1日時点で過去最低の68・8%にとどまった。新卒採用の抑制や学生の大企業志向などが要因に指摘されるが、新卒者の働く場所を確保・創出するための労使協議が不可欠だ。」

 毎日と産経の記事にも学生の大企業志向は出ているが、はっきりとは書いていない。これではよく分からない。普通の新聞がごまかして、小学生向けの新聞が核心を突くとはどういうことなのか。

 メディアが「学生は選り好みしないで、中小企業に行くべきだ」と言えば、学生は考えを変えるだろう。それなのに、「中小企業と学生を結び付ける対策が必要だ」(読売)などと言う。メディアが解決を図るのが一番効果的なのに、役所にやらせるつもりだ。

 政治家の失言などでは大騒ぎをするが、肝心なことは仄めかすだけだ。余りに無責任だ。読売は「即戦力」も持ち出した。

 学生の就職難は完全に定着したテーマで、耳に胼胝(たこ)ができるほど聞かされている。就職難のニュースも不安を呼び、景気を悪くすると思う。疲れている時に、就職相談会などのニュースを聞くとゲッソリする。

 間違いではないが、部分的一面的な報道は誤解を生む。本質を突かず、不安を煽るようなニュースばかり流すのは問題だ。就職に関する中途半端な報道も、景気を悪化させるための陰謀ではないのか。
 

・リンク
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/syuukatsu/snews/20110103-OYT8T00267.htm
http://mainichi.jp/life/job/news/20110118dde041020010000c.html
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110120/biz11012003130039-n1.htm

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