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安倍首相は、信念の貫き方を間違えている [政局]

【オーマイニュース 2007年08月08日】-参院選では与党が大敗したのに、安倍首相は責任を取らない。戦後の日本で、こんなことはあったのだろうか。選挙で負けた内閣は、いつも何らか責任を取ってきたはずだ。それなのに、安倍首相は退陣はせず、内閣改造も8月末まで行わないと言う。一体なぜなのか。

 安倍首相は信念を貫く政治家だからだと思う。首相はベストセラーになった『美しい国へ』という本の40ページに、「千万人といえども、我ゆかん」という孟子の言葉を引用しながら、批判を受けても信念を貫き、必要な政策を実行していきたいと書いている。

 信念を貫くのはいいことだ。日本の多くの政治家は信念がないので、マスコミに批判されると、政策を引っ込めてしまいがちだ。安倍氏は拉致問題に長く取り組み、朝日新聞が NHK の従軍慰安婦の番組について同氏を誹謗した時も、ぶれることなく対応した。そんな所を評価して、保守派の言論人も安倍首相に期待を寄せていた。日本政策研究センターは同氏を首相にするために、「立ち上がれ!日本ネットワーク」を作ったほどだ。

 だが安倍首相は5月頃から、信念の貫き方を間違えている。5月30日には衆議院の厚生労働委員会で、年金関連法を5時間だけの審議を経て、強行採決した。6月29日には参院本会議で同じく年金関連法を深夜までかかって、成立させた。首相は翌30日、「国民は、同法の成立を評価してくれると思う」などと誇らしげに述べていたが、この直後内閣支持率は更に落ちた。不当な抵抗に遭った場合は、強い姿勢で法案を成立させることは必要だが、5時間の審議や深夜の採決をいいと思う人は少ない。安倍首相は、信念の貫き方を勘違いしていると思う。

 参院選で与党が敗北したのに退陣を拒否しているのも、このような信念の貫き方から出ているのではないか。また、選挙の敗因は自分が作ったのではないと思っているのかも知れない。「年金記録の不備は何年も前に起きたことだし、事務所費の問題など些細なことだし、マスコミが騒ぎすぎた。憲法改正という難事業を自分の手でなし遂げたい。」と思っているのかも知れない。だがそれは勘違いだ。

 選挙の結果を受け入れないのは、通らない。民主主義は、国民が選挙によって政治家を選び、国民が間接的に政治を行う制度だから、選挙の結果を受け入れないということは、民主政治を否定するような暴挙だ。

 内閣退陣を拒否するのが横暴なのは、理論上だけのことではない。参議院では民主党が過半数を取ったから、民主党の協力を得ないと、法案が成立しない。参院で否決しても、衆院でもう一度可決すれば、法案は成立するが、参院で野党が採決をしないと、店ざらしになって、法案は全く成立しなくなるようだ。そんなことが続いたら、内閣支持率は急落するだろう。

 民主党の小沢一郎代表は、衆院解散を求めており、政権奪取を目指している。首相は8月中に内閣を改造すると言うが、それで民主党が納得するだろうか。安倍首相が辞任するまで、参院で法案を店ざらしにするのではないか。

 国会が長く空転したら、内閣の総辞職と衆院解散は避けられなくなるだろう。自民党は更に信頼を失って、総選挙で議席を減らすだろう。民主党が過半数を取ったら、小沢代表が総理大臣になる。有権者がそこまで民主党に投票するとは限らないが、その可能性はある。

 以前の自民党なら、このような状態になった時、反主流派などが首相を引きずり降ろす工作をしたものだが、今の自民党にそのような様子はない。内閣の総辞職を求める議員もいるが、あまり多くないようだ。自民党はこのままグズグズして、民主党に政権を渡すつもりなのか。民主党が政権を取らないとしても、国会が空転して、国政が停滞してもいいのか。

 マスコミも「安倍首相の後任はいない」と言っているが、無責任な話しだ。麻生太郎・外相や谷垣禎一・元財務相などが、候補としている。マスコミまで、安倍続投を後押しするようなことを言うのだから、信じられない。

 今のままでは、国政が停滞することは確実だし、民主党が政権を取るかも知れない。安倍首相は日本のために、内閣の総辞職を決断してほしい。

 オーマイニュースのサイトで読むのなら、http://www.ohmynews.co.jp/news/20070806/13806 で。


タグ:安倍晋三
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