不定詞の副詞的用法で使うonlyについて [英語学]
【2013年08月04日】-ところで不定詞の用法には3通りあって、名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法がある。名詞的用法と形容詞的用法は比較的簡単だが、副詞的用法は下位区分が色々あって難しい。
副詞的用法には結果を表す用法がある。次のような文だ。
He lived to be 90.(彼は90 歳まで生きた。)
He grew up to be a musician.(彼は成長して音楽家になった。)
結果用法と言うが、後半はandで書き替えても意味が変わらないこともある。
He grew up and became a musician.(彼は成長して音楽家になった。)
・only
to不定詞の結果用法では、to不定詞の前にonlyを置くことがある。殆どの辞書や受験参考書はこれを「~しただけだ」と訳すが、おかしいと思う。この場合onlyに限定の意味はないはずだ。「~しただけだ」は訳語としてもおかしい。
プログレッシブ英和辞典は3番目の語義として「((to不定詞を伴って))ただ…する結果となって」と書いている。
例文とその訳は次のようなもので、「ただ」は入っていないが、「スキーに行って、ただ捻挫した」と考えているようで不当だ。
He went to skiing only to sprain his ankle.(足首をねんざしにスキーに行ったようなものだ. )(went to skiingもおかしい。toは要らない。)
リーダーズ英和辞典には次の例文と訳が載っている。
He went to the seaside only to be drowned. (海水浴におぼれに行ったようなものだ)
これも「ただ溺れる結果になった」と考えている節がある。
・まとめ
英文を読んでいてonly to~は時々出てくるが、限定の意味合いを感じることはめったにない。onlyは、不定詞が結果用法だと示しているか、残念という気持ちを表しているか、どちらかだと思う。
有名なLongman Dictionary of Contemporary Englshをサイトで引いたら、only toを熟語として扱い、次の定義と例文を載せていた。
only to, used to say that someone did something, with a
disappointing or surprising result:
I arrived only to find that the others had already left.
(誰かが何かをして、それが残念だったり驚くような結果で終わったことを示す。
「着いたら、他の人達は既に立ち去ったことを知った」→「着いたら、他の人達は立ち去っていた」)
定義に限定を表す言葉はないし、例文にも限定の意味合いはない。それに熟語として載せているのだから、この辞書の編者は限定を表すとは思っていないはずだ。
結果用法の不定詞の前に現れるonlyに、限定の意味はないと思う。英和辞典も文法書もおかしい。日本人はまだ英文解釈がちゃんとできないのだ。
・参考文献
清水周裕『現代英文法』(チャート研究所)