表層構造と深層構造の簡略な説明 [英語学]
【2012年05月10日】-今日は、表層構造と深層構造についてできる範囲で説明する。
このように漢字を使って言うと難しそうに聞こえるが、元の英語の方が分かりやすいだろう。
英語ではSurface Structure, Deep Structureと言う。「表面の構造」と「深い構造」ということだ。
このような区別をするのは、同じ構文に見えても構造の違う文があるからだ。チョムスキーは次の2文を挙げて説明した。
(1) He is eager to please.(彼は人を喜ばせたがっている)
(2) He is easy to please. (彼は喜ばせ易い人間だ)
3番目の単語が違うだけで、そっくりの文だ。だが意味や構文はかなり違う。(pleaseはここでは「喜ばせる」の意味。)
(1)ではheは形式上主語だし、pleaseの意味上の主語でもある。だが(2)でheは形式上は主語だが、意味上は主語ではない。「彼が誰かを喜ばせる」のではなく、「誰かが彼を喜ばせる」からだ。It is easy to please him,と言っても同じことで、こっちが本来の言い方だろうし理解しやすい。
次の(3)は二通りに解釈できる。
(3)Flying kites can be dangerous.
flyingを動名詞と考えて、「凧を飛ばすことは危ないことがある」と解釈するのが一つ目。またflyingはkitesを修飾する現在分詞と考えて、「飛んでいる凧は危ないことがある」というのが二つ目の解釈だ。
このように見たところ(表面)はそっくりだが、深いところ(深層)では違う文がある。チョムスキーはそれをはっきり認識し、表層構造と深層構造と名付けた。これが斬新だった。
だが上に挙げた例文はちょっと不自然だ。たとえば(3)ではcanでなく、be動詞の定形を使えば、解釈は一通りしかできない。
(4a)Flying kites is dangerous.
(4b)Flying kites are dangerous.
(4a)のようにisならflyingは動名詞だし、(4b)のようにareならflyingは現在分詞だ。
・参考資料
http://lsa.dialog.jp/qaboard/qab-show-answers.php?no=722