米兵慰霊碑を反戦運動に利用したNHK [NHK]
【2013年03月24日】-20日はイラク戦争の開戦から10年、サリン事件から17年目の日だったので、どのメディアも大きく扱ったが、私の印象に残ったのはNHKがローカル・ニュースで取り上げた戦争慰霊碑のニュースだ。
昭和20年2月10日、アメリカ軍のB29は2機で群馬県太田市の軍用機工場に爆弾を落としていたが、上空で接触して両機とも隣の同県邑楽村に墜落し、兵士23人が死んだ。同村の清岩寺がその死者の名を刻んだ慰霊碑を建てたが、この日追悼式を行い、アメリカ人も含めて300人も参列したというニュースだ。
これを取り上げること自体はいいことだと思う。日本人が恩讐を越えて、戦死したアメリカ人を弔うことは報じるべきだ。この時亡くなった兵士の家族も参加したから、日米同盟を強めることにもなる。
・発言をつまみ食い
だがNHKはこれを左翼の反戦プロパガンダに利用したので、驚き呆れた。
まず清岩寺に慰霊碑を建てた目的を「寺や地元の人が戦争の悲惨さを語り継ぐため」などと言った。
普通、慰霊塔などを建てるのは戦争の悲惨さを語り継ぐためではない。戦死者を慰霊するためだ。慰霊塔を建てても、戦争の苦しみは伝わらない。写真展なら伝わる。
邑楽村の人達も反戦のために建てたのではないだろう。死んだ兵士がかわいそうだと思って、慰霊塔を建てようという話しが出て、実行に移したはずだ。NHKはきっと目的を勝手に変えたのだ。
参列した3人の話しを放送したが、それにも作為が感じられる。
米軍のマーク・アレン中佐「式に参加させていただき感謝しています。かつては敵どうしでしたが、今では家族ともいえる友好関係をこれからも育んでいきたい。」
遺族の老人(78歳)「私もアメリカの遺族も同じ家族を失っています。尊い命を奪う戦争は二度とあってはならないものと感じています。」
同寺の木崎伸雄住職「アメリカの兵隊も日本の兵隊も同じ戦争の犠牲者だ。宗教の枠組みを超えてこれからも追悼していきたい。」
3人の話しには、霊を弔う気持ちが全く出ていない。慰霊したいから慰霊碑を建てたはずなのに、それには触れない。極めて不自然だ。
3人は霊を弔うことも言ったが、それは放送しなかったのだろう。もし都合のいいことを言ってくれなかったら、「また戦争があってもいいですか」「日米の兵隊は戦争の犠牲者ではないですか」などと質問して、言わせたのだと思う。出席者の発言を伝えていても、製作者の意図が強く表れている訳だ。
・戦争の原因を考えない
私も戦争には反対だが、「苦しむからやめよう」と幾ら呼びかけても、北朝鮮に攻撃されたら戦わざるを得ない。
「戦争の犠牲者」という見方も駄目だ。戦争自体が悪いのではない。戦争を起こした人間に責任があるのだ。左翼は戦争を敵視するばかりで、原因を考えないようだ。
今までも慰霊のニュースは何度も見てきてて、いつも戦争を敵視していたような気がするが、慰霊に触れない不自然さに気づいたのは先週が初めてだ。それで印象に残った。