SSブログ

報道とリーク(下)~メディアはリークが欲しくて捜査機関を褒める [*マスコミ]

【2010年01月27日】-「捜査機関はリークして、都合のいい情報をメディアに流させることがある」と書いたが、そんなリークは松本サリン事件以降大きく減って、今では殆どないと思う。

 情報をもらうために、メディアは警察や検察をむやみに褒める問題もある。

 朝日新聞を取っていた頃、毎年秋に東京地検特捜部に関する2ページの特集を載せるので、不思議に思った。今回のように特捜部が話題になった直後なら分かるが、いつもそうではないので意外だった。

 意図を探ろうとしながら読むと、特捜部を褒めていることが分かり、更に訝しく思った。段々検察に媚びを売って情報をもらうためだろうと思うようになった。読売や毎日も毎秋特集を載せて、検察に取り入ろうとしているようだ。
 
 産経新聞を取っていた時には、東京版が年に2回も警視庁の巡査を表彰するので驚いた。刑事ではなく巡査を表彰するのは不思議だ。巡査は捜査に当たらないはずだ。

 中高年の巡査が緊張した面持ちで写真に写っていたので、奇妙な紙面になっていた。読者には評判が悪いだろう。科学警察研究所を称えることもあった。産経が記事を装ってこんなことをするのは、記者の数が他紙より少ないので、警察に取り入る必要があるのだと思う。

・時事通信の露骨な褒め方
 1月18日には警視総監が交代したが、メディアは新任の池田克彦氏を早速褒めた。日本テレビは「警備のエキスパート」と字幕に書き続けた。

 時事通信は14日付の記事で褒めちぎった。「博識」「ユーモア」「おおらかな人柄と豊富な知識、部下を思いやる心」「話術で人を引き付け、仕事の意欲も導き出す」と書いた。

 本を7冊も書いているので博識は確かだし、ユーモアがあるのも事実のようだ。だが、他のエリート公務員も話術に長け、部下をそれなりに思いやるはずだ。媚びたい気持ちがありありと出た文章だ。

 読売と毎日も就任の記事を載せて褒めたが、時事ほど露骨でない。時事はどうなっているのか。メディアはいつも官僚をけなしているのに、警視総監が就任する時だけは褒めるから、気分がおかしくなる。

 20年くらい前、検事総長を務めた伊藤栄樹氏が退職した時や亡くなった時、マスコミが盛んに称えたのも、検察から情報をもらうためだったのだろう。余りに賞賛するので不愉快になった。

 取り入りたいのなら紙面や電波を使わずに直接褒めればいい。活字にしないといけないのなら、社内報にでも載せれて渡せばいい。ニュースとして、捜査機関に対する媚びを見せられるのはひどい迷惑だ。

 日教組が子供をそっちのけにしているように、メディアは取材先に対する広報をニュースとして流す。部数や視聴率が落ちて、赤字を出すのは当然だ。

・捜査機関はリークをせずに公式に発表すべし
 以上のような理由でリークはやめるべきだが、事件に関する報道がなくなっていい訳ではない。
日本人は捜査状況を知る必要がある。

 都心で遺体が見つかったら、メディアは大きく取り上げる。どんな状況なのか詳しく伝える。だが容疑者が逮捕されたら、報道が止まってしまうのは不自然だ。どんな人間なのか、警察で何と話したのか聞きたい。のぞき趣味ではなく、日本国内で起きた大きな出来事について知る必要がある。

 だからリークでなくとも捜査状況は報道しなければならない。今非公式に記者に話せる程度のことは、捜査担当者が記者会見で公式に言うといいと思う。今でも刑事や検事が記者会見を開くことがある。それをもっと頻繁にやれば、リークはいらなくなる。大きく減るはずだ。記者も取材が楽になる。

 だがそうすると競争がなくなり、どのメディアも同じ内容を報じることになるから、大手メディアは反対するかも知れない。捜査機関も困るかも知れない。だがリークを減らすには他に方法がないと思う。

・引用文献
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201001/2010011400798
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100118-OYT1T00981.htm?from=navlp
http://mainichi.jp/select/opinion/hito/news/20100116k0000m070134000c.html

ブログランキング・にほんブログ村へ

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。